旧制第五高等学校(現・熊本大学)に着任した夏目漱石が、
京町台から眼下に広がる熊本を初めて目にした際に
「熊本は森の都だな」と口にしたと伝えられています。
それから120年以上経った今も、熊本城をはじめ、
立田山や金峰山など豊かな自然は官民の連携によって守られ、
令和4年春に開催された「全国都市緑化くまもとフェア(くまもと花博)」を契機として、
市民の花や緑への関心はより高まっています。
昭和47年の「森の都宣言」から50周年という節目の年に、
各部署での緑関係の業務を統合集約した「森の都推進部」を立ち上げ、
新たなステージでの森の都づくりを推進していきます。
緑関係の窓口の一本化によるわかりやすさの向上
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※公園・街路樹に関するお問い合わせは、今までと同様に管轄の各土木センターまでご連絡ください。
昭和49年、熊本市は森の都宣言2周年と、市制85周年を記念して、森の都熊本のシンボルとしてふさわしい「市の木」「市の花」を広く市民から募集しました。
その結果小学生からお年寄りの方まで幅広い層の方々から、12,548通にものぼる応募が寄せられました。
市の木については、イチョウ、クスノキ、サクラなど122種、市の花については、肥後ツバキ、肥後ショウブ、菊など160種に及びましたが、市民各層の56人で構成される「森の都推進会議」の答申を受けて、市木を「イチョウ」、市花を「肥後ツバキ」にすることに決定しました。
選ばれた理由としては、「イチョウ」は熊本城が昔から銀杏城と呼ばれ、古木もあり、また立派なイチョウ並木もあって市民に親しまれていること、また、「肥後ツバキ」は古くから熊本独特の花として知られ、代表的な名花であるばかりでなく、最近は国際的にも知られつつあり、一般家庭でも容易に育てることができること等が考えられます。
肥後熊本藩6代藩主・細川重賢公が、武士のたしなみとして藩士たちに園芸を勧めたことが肥後六花の始まりとされています。当時、肥後の花と呼ばれるものは約30種あったそうです。12代藩主・細川斉護公の時代に、細川藩士による園芸愛好グループ「花連」が結成され、藩士たちは優良品種の栽培や新品種の育成に励みました。
昭和35(1960)年、昭和天皇の天覧を機に四季を通して見ることができる6種類の花が決められ、それらが後に「肥後六花」と呼ばれるようになったそうです。肥後六花は「花芯(※)が大きい」「花形が一重一文字咲き(※)」「純粋な花色」の3つの特徴があります
※花芯…花の中心部分のこと。
※一重一文字咲き…一重咲きとは花びらが重なり合っていない状態のこと。一文字咲きと
は幅広い花びらを持つ菊の品種
肥後菊花壇は花の大きさや高さ、色、花びらによって配置や本数などが決められています。花壇を観賞するときも、庭の花壇を座敷から見るという想定で、3列目の菊の高さの3倍(約136センチ)下がって見ます。ここまで細かいルールが設けられた花壇は世界でも珍しいそうです。
毎年11月に水前寺成趣園にて開催される肥後菊展で観賞することができます。
肥後朝顔は専用の小鉢で育てられます。1本のつるを鉢の3倍ほどの高さに伸ばし、葉っぱは4~5枚、鉢のすぐ上に花を咲かせます。毎年7月上旬と9月上旬に、水前寺成趣園で開催される肥後朝顔展で観賞することができます。花の色や形などがきれいに見られる午前中に観賞しましょう。
遅くとも室町時代にはすでに栽培が行われていたようで、細川重賢公が作った蕃滋園にも植えられていました。2列に並べ、前の列は草丈が低くなるようにするなど、配置のルールが決められています。毎年5月上中旬に、水前寺成趣園で開催される肥後芍薬展で観賞することができます。
肥後椿は花だけでなく、全体を観賞できる盆栽の形で育てられています。花芯が大きいものほど優秀品とされます。見ごろを迎える3月には水前寺成趣園で肥後つばき展が開かれます。また、肥後椿は昭和49(1974)年に熊本市の「市の花」に選定されました。
花芯が大きく立っていること、花全体が大きく広がっていること、白い花が多いことが特徴です。江戸後期には花壇に植えられていましたが、幕末のころから鉢植えが始まり、今では鉢植えが主流です。上から花芯をのぞき、一通り見てから正座して全体を眺めるのが観賞の作法とされています。
毎年5月下旬から6月にかけ水前寺成趣園にて開催される肥後花菖蒲展で観賞することができます。
「一重大輪梅芯咲き(花びらが重なり合っていない大きな花で、花芯が全方向に広がっている状態で咲く)」が特徴ですが、肥後山茶花を育てる過程で、花びらがいくつも重なった八重咲きや千重咲きの品種も生まれました。毎年11月に、水前寺成趣園で開催される肥後山茶花展にて鑑賞することができます。